ムックの呟き

5日間会社を休むほどの月経困難症をキッカケに子宮腺筋症(子宮内膜症の一種)と診断されました。色々と考えた上で西洋医学による治療は行わず、漢方薬と養生で乗り切りましたー

2008年度用高等学校教科書検定結果についての見解

出版労連2008年度用高等学校教科書検定結果についての見解という情報を見つけた。

ナカナカ興味深い内容が満載(>_<)

『今回の検定で目立った』として挙げられているのが、以下の3点。

沖縄戦における「集団自決」への日本軍の関与の否定ないし矮小化』

南京虐殺の犠牲者数』

『日本政府の見解を徹底させること、または正当化させること:自衛隊イラク派兵、国旗・国歌法、領土問題、原発や温暖化など環境問題、ジェンダー

長い文章で読むのが面倒、という方もいらっしゃるかもしれないので、個人的に気になった点をピックアップし、以下に転載しておきます。

沖縄戦における「集団自決」への日本軍の関与の否定ないし矮小化』について

『検定意見を変更させた背景としては、昨年、当時の座間味島および渡嘉敷島の守備隊長の遺族らが大江健三郎氏と岩波書店を相手に、大阪地裁に提訴した「沖縄集団自決訴訟」の存在がある。沖縄戦と集団自決をめぐって、日本軍の関与なしにありえなかったとする学説状況には変化がない以上、この訴訟とそれに連なる国会議員らの存在以外に、変更の要因は考えにくい。そうだとすれば、この問題は、教科書検定への政治による干渉として記憶されるべきものである。』

自衛隊イラク派兵』について

『「自衛隊イラク派遣について誤解するおそれのある表現である」として、派兵の目的が「復興支援活動」であることを書かせる検定意見がつけられた。また「派兵」を「派遣」と書き換えさせた。「戦闘地域に派遣」とする記述を「復興支援を目的として、主要な戦闘終結後も武力衝突が続くイラク自衛隊が派遣された」と、あくまでも「復興支援」が目的であるとする政府見解を徹底させた。』

『国旗・国歌法』について

『申請本における「制定時に政府は教育現場での強制はしないと明言した」との脚注の記述を「制定時に政府は義務付けの条文がないこと、児童・生徒の内心の自由まで立ち入って強制する教育をしてはならないことを明言した」と書き換えさせた。しかし法案審議の過程で、政府関係者は、以下に引用するような発言を行っている。』

『「これらの政府の見解(「日の丸・君が代」についての政府解釈)は、政府自身の見解でございまして、国民お一人お一人が君が代の歌詞の意味などについてどのようにお受け止めになるかについては、最終的には個々人の内心にかかわる事柄であると考えております」(野中広務官房長官 1999年8月6日 国旗及び国歌に関する特別委員会)」「これ(内心の自由にまで立ち入って強制することがあってはならない)は学校教育におきましても国民一般の場合におきましても何ら異なるところはないものと思っておりますし、教育に当たる学校の教員が、憲法に保障された基本的人権であります内心の自由にまで立ち入って強制すると判断されるような教育活動を行ってはならない。こういう点につきましては、私ども、今後とも十分留意をして参りたいと思っております」(御手洗政府委員 1999年8月4日 文教委員会)」「今回の法制化は、国旗・国歌の根拠について、慣習であるものを成文法としてより明確に位置づけるものでございまして、学校におけるこれまでの国旗・国歌の指導に関する取り扱いを変えるものではございません」(1999年7月30日 有馬文部大臣 国旗及び国歌に関する特別委員会)』

『<原発や温暖化など環境問題』について

『今回も、原子力発電の問題点を指摘した記述に対して、「長所も書け」とする検定がついた。

「今後は、新エネルギーの開発や省エネルギー技術の普及を含め、住民参加による総合的なエネルギー政策が求められている」との原文が「新エネルギーの普及のために克服すべき課題が存在しないかのように誤解するおそれのある表現である」として、この文の前に「ただ現段階では、安定した発電量の確保や経済性などの点で課題もある」との記述が追加された。

「新エネルギー」の可能性について「エネルギー効率や導入費用などの点に課題が残るものの」と留保がつけられた。

「工業化と大量消費社会の出現で、膨大な量の二酸化炭素が排出され、これを主な原因にする温室ガス効果で地球温暖化も進行しています」が「工業化と大量消費社会の出現で、膨大な量の二酸化炭素などの温室効果ガスが増え地球温暖化も進行させていると考えられています」とされた。』

ジェンダー』について

『入手しえた資料を見るかぎり、英語での検定意見が目立ち、次のような事例があった。

a) 女子生徒の異議に基づいて男女別50音名簿を男女混合名簿に変更したとの記述に「男女別の名簿を用いることについて、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げている」とされ、この記述は別のものに差し替えられた。これなど東京都教育委員会男女混合名簿を事実上禁止していることとの整合性を図ったのではないかと疑われても仕方がない。

b) 日本には「男性は外で働き、女性は主婦であるべきという伝統的な考えが依然として残っている」との記述(これが「伝統的」であるかどうかは疑問があるが)に、「一面的な見解」と意見がつけられ、別の記述に差し替えられた。

c) 「職業の名前は性別から切り離されるべきです。日本でも『スチュワーデス』が『フライト・アテンダント』と呼ばれていることはよいことだと思います。私の考えでは、この傾向はもっと広まるべきです」が「誤解するおそれのある表現である」とされ、臓器移植の話に差し替えられた。

d) 「多くの社会で男子は女子よりひいきされている」が「さまざまな国で不平等がまだ存在している。いくつかの…途上国では、女性は長い間しいたげられてきた」と男女差別が主に発展途上国の問題であるかのように変更された。』