『裁判所の正体―法服を着た役人たち』を読みました
『裁判所の正体―法服を着た役人たち』読了。
元裁判官で退官後は研究者となった瀬木比呂志氏とジャーナリストの清水潔氏の対談。
学校で三権分立って教わったけれど実際は違うよねと感じてましたが、想像以上の劣化ぶりに愕然とする内容ばかりです。
福島第一原発の事故後、原発の運転を止める判決を出した裁判長は2人。
その内の一人、元福井地裁裁判長の樋口英明氏は判決後、名古屋家裁に転勤。樋口氏のそれまでの実績を考えたら普通は考えられない見せしめ人事らしい。
もんじゅ訴訟の裁判長は定年まで6年余りを残して退官。
滋賀2号原発訴訟の裁判長は弁護士に転身。
『相当に勇気のある人が、退官の時期とか、転身の現実的な可能性まで視野に入れた上でないと、原発訴訟について踏み込んだ判断などできなかった』というのが瀬木氏の見方。
司法だけではなく、もちろん政治、そして報道の問題点にまで話が及びます。
瀬木氏の言葉。
『三権の中でまだ一番やりやすいのは、司法です。というのは、行政や立法は既得権のかたまりで、それこそ「ゴジラの死体」みたいなものです。ゴジラの死体なんて、どうやって始末していいかわからないし、どこを切っても放射能が噴出してくるから、危険きわまりないわけです。』
『でも、司法というのは、まあ、「マンモスの死体」くらいなので、まだ何とかなる(笑)。』
『かつ、もしも再生させることができれば、司法というのは、滞在的には、すごい力をもっているわけです。』
なるほど。
改善するには、やはりまずは現実を知ることから。
そして個人的には、これまで最高裁判所裁判官国民審査では実績によって×を付けてましたが、
今後は、基本的に全員×にして、「この人は大丈夫」という人のみ、空欄にします。
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(この本を読むと、最高裁まで上り詰めた裁判官にそんな人がいるのだろうか? と思ってしまうのですが・・・。)